第1　コロナ後2周目を迎えたインバウンドの状況

　第2　通訳案内士が自動車を使ってガイドする新しい枠組み(JTB連携事業)

　第3　実践力を高める研修です。

第1に、日本のインバウンドの状況について、以下3点あります。

(1) 欧州からの訪日客が激増しています

　JNTOの訪日外客統計による、2024年3月は、2019年対比で116%となりました。注目するのは、欧米豪の伸び率です。対2019年比で、豪州187.4%、米国164.3%、英国146.1%、ドイツ166.1%、スペイン188.4%です。これまで伸び悩んでいた欧州も爆発的な増大です。

　例外は、フランスの118.0%で、概して、アジア諸国の伸びは、穏やかです。タイ、マレーシア、インドネシアは、むしろ減少しています。

　これにより、英語はもとより、ドイツ語、イタリア語、スペイン語等の少数言語のガイドは、絶対的にに不足しています。海外のAGTは、通訳案内士制度にとらわれていません。　

　日本や日本文化が分かりやすく話せて、コミニケーションができる人を求めています。ツアーコースにないローカルな温泉、観光施設、古代の政治史などは、ガイドに求めていません。

　特に、お客様を適切に誘導する旅程管理のできる方に対する希望が強いです。

(2) ガイドの力量不足が目立っている

　今年の3月に実施したあるツアーでは、300人の派遣に対して、AGTから改善要望が出された者が28名あった。その理由として、以下のものがあった。

・バス車内で話せない。車窓ガイドができない。

・お客様の数が数えられない。

・旅程が管理できない。

・身だしなみが悪い。

・事前の準備が足りない。

・指示書を読んでいない、等。

　これらの内容は、活動説明会で詳しくお話しします。

(3) 政府が対応できていない。

　インバウンドは、日本経済の再生・発展にとって、半導体に並ぶ2本の柱の1つと思います。にもかかわらず、半導体に対する巨額の支援に比べて、旅行業界はほとんど支援を受けていません。

　先日も、会員情報等でお知らせしましたが、観光庁では、全国通訳案内士試験の受験料の引き上げについて、パブリックヒアリングをしています。私は、観光庁の主催する「「ガイド人材の活性化に係る検討会」に出席して、通訳案内士団体の代表として、様々な提案をしてきました。

　しかし、こうした改善の工夫なしの「値上げのみ」になろうとしています。本説明会では、この点についても、詳しくお話しします。

第2に、通訳案内士が自動車を使ってガイドする新しい枠組みの構築。以下、3点について、お話しします。

(1) 観光地域新発見事業

　観光庁の実施する補助事業で、4月17日が締め切りで、当社は、3本提出しました。そのうちの一つです。事業概要は、以下のとおりです。採用の有無は、5月末日までに、発表される予定です。

　2024年3月1日の制度改正により、通訳案内士が自動車を運転して、外国人を案内することが可能になった。通訳案内士が運転するツアーは、全国で初となる可能性が高い。新制度を円滑にスタートさせるには、調査・企画・研修の十分な準備が不可欠であり、栃木県通訳案内士会と連携し、新しいアドベンチャーツアーのモデル的事業を、以下の地域で実施していく。

〇日光地域　日光は、日本で制度が開始し1934年に、国立公園に指定された豊かな自然を持つ。また、1999年日光の社寺は、ユネスコの世界文化遺産に登録された。これまでややもすると、日光観光は、日帰り観光で、東照宮、輪王寺を訪問とし、追加しても華厳の滝が多かった。しかし、これに加えて周辺の奥日光エリア、霧降エリア、鬼怒川エリア、湯西川エリアと、自然、歴史、食の魅力たっぷりの地域がある。交通状況のため、これまで訪問できなかったこれらのエリアを訪問することで、地域活性化を実現する。

〇　那須・塩原地域。那須塩原駅は、新幹線で東京駅より1時間8分の距離にある。那須連山の茶臼岳(標高1915m)は、ロープウェイの駅より、50分の行程で行け、広い視野、高山植物が楽しめる。首都圏から、最もアクセスの容易でかつ、魅力的な山岳地域である。

(2)JTBとの連携

　本ツアーの制度化にあたっては、以下の仕組みづくりについて、JTB等と連携します。

・通訳案内士が自家用車等により、実施するツアーを販売する。

・ガイド養成研修、(1)顧客対応マナー、(2)安全管理、(3)観光知識を受講した者に修了認定書を贈呈する。旅程管理主任者の資格は、必須要件とする。

　なお、観光知識については、新人研修の日光座学研修・実地研修の日光バス研修の受講を前提とし、以下のカリキュラムを新規に実施する。

・連携している栃木通訳案内士協会と日光自然博物館学芸員を講師として、

地質・地形・気候、主な植物と歳時記、動物などの生き物、これについて、座学と実習による研修を実施する。

　また、湯西川、鬼怒川等の地域についても、実地研修を実施する。

(3) 将来性

　1ファミリーあたり、8万円程度のプライベートツアーであれば、需要の増大が見込める。日本最大の旅行会社の(株）JTB社と、True Japan Tour(株）と日本最大の通訳案内士団体である日本文化体験交流塾の会員が連携することにより、日本各地の地域活性化のモデル事業としていく。

　また、本事業の最大の要諦は、安全性の確保である。既存のタクシー会社等の安全管理部門からのヒアリングを重ねることにより、安全・安心なツアーを確保していく。　

第3に、即戦力・実践力を高める研修です。

(1) 4月の繁忙期は、まもなく終了します。

・5月以降は、AGTから、寄せられているガイドの問題点の克服が課題となる。なにより、実践的な現場研修を実施していく。

・秋葉原研修、鎌倉研修は、その第1弾である。6月以降、その他の地域の実地研修を企画し、実施していく。

・石井隆之副理事長による観光地と歴史的な背景を学ぶシリーズ　10回シリーズを開始しました。

(2) 山口和加子副理事長ほかによる東京車窓ガイド研修を販売する。

　　各回40分程度、全42回実施　

・基本的に配信動画の販売です。（教室・Zoomでのライブ受講はありません。）

・1回、12枚の写真を使い、一定区間の車窓のモデルガイドティングを行います。

例えば、◎浜離宮→築地場外市場→築地本願寺など

　　　　◎日比谷→桜田門→警視庁→日比谷公園→ミッドタウン→ゴジラ像→帝国ホテル

(3)外国人にも必要な日本の知識検定(KNF検定)制度

・TJT&IJCEEグループによる新たな外国語認定制度を創設します。これは、現場のガイドにとって、本当に必要な知識から、出題します。80題の文章題を120分で解答します。オンラインで在宅で受験できて、IJCEE会員なら、1500円で受験できます。

・出題は、バスや現場がガイドとしてね対応すべきことなど、単なる知識を問う問題ではありません。

・丁寧な回答解説がつくので、ガイドとしての知識を検証できます。

　この検定を受け続けることで、新人ガイドをトップガイドへと育成する仕組みです。

今後、ガイド募集に当たっては、外国人にも必要な日本の知識検定(KNF検定)の得点で、知識力の測定の基準としていきます。

　True Japan Tour 株式会社のガイド募集にあっても、アサインの評価基準の一つとしていきます。

昨年12月より実施してきた『IJCEE活動説明会』

インバウンドの復活に伴い、毎回、非常に多くの方にご参加いただき、

大好評となっております。

本年は例年よりも多くの説明会と実施して参りましたが、参加の機会を

逃してしまった方も少なくないようで、多くのお問い合わせを頂戴して

おります。

そこで、過去に実施した説明会の動画を無料で公開いたします。

面倒なお申込みなどございません。以下の動画をクリックしてご覧

頂けます。是非、ご確認ください。

NEW！ 本年度の新研修活動説明会に於いて頂戴したご質問と、その回答をまとめました。以下よりPDFをダウンロードいただけます。

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