通訳ガイドが書いた「地域の歴史が学べる観光ガイドブック」研修会
「国宝第一号」を見に行きませんか?
7世紀初めに建立された広隆寺の本尊弥勒菩薩像は、日本一美しい弥勒菩薩と言われています。これが「国宝指定第一号」の別名宝冠弥勒。下賜したのは聖徳太子、されたのは大陸渡来秦氏の子孫秦河勝。太子の宗教観、政治力、外交力に大きな影響を与えた人物です。
広くて快適な霊宝殿には畳張りのソファがあるのでゆっくり仏像と対面できますが、畳の上は土足厳禁!うっかり靴のまま正座するとお坊様が跳んでこられます。ぽかんとした表情のお客様にすかさずガイドが耳打ち“Shoes off, please.” これで一件落着。
このツアーでは世界遺産の仁和寺(開花時期の遅い御室桜で有名)と、広隆寺から徒歩圏内にある東映太秦映画村も訪れます。 (担当講師:奥本一代)
映画の歴史は1895年、フランスのリュミエール兄弟が、パリで「シネマトグラフ」を上映したのが「映画の発明」とされる。リュミエール兄弟とフランス留学時代に知己を得た実業家の稲畑勝太郎(いなばた・かつたろう)(後の大阪商工会議所会頭)が、機材と上映権を購入し、1897年に京都で上映したのが日本映画の始まりである。
仁和寺は光孝天(58代)の勅願によって建て始められ、光孝天皇崩御後の888年、宇多天皇(59代)によって落成した。元号を寺名に持つ、数少ない「元号寺」である。現存する他の元号寺は、比叡山延暦寺、京都建仁寺、鎌倉建長寺、上野寛永寺等がある。
広隆寺は渡来系の秦氏の氏寺。都が平安京に遷都される前からこの地にあったとされる。
818年と1150年に全焼し、その後、再建された。現存の講堂(重要文化財)は1165年再建時の建物である。国宝の「桂宮院本堂」は、法隆寺夢殿と同じ「八角円堂」で、本尊は「聖徳太子半跏像」。「上宮王院太子殿」には、本尊として聖徳太子33歳の時の立像が安置され、1年に1日だけ、11月22日に一般に公開される。