通訳ガイドが書いた「地域の歴史が学べる観光ガイドブック」研修会
京都西コースを担当する講師の加羅です。このコースでは主に京都市西部の禅宗、臨済宗の本山の一つである妙心寺と嵐山地区を回ります。
妙心寺は町中にあって、境内に入ると創建当時の空気を漂わせます。また、七堂伽藍の典型的な配置構成をしており、お客様に禅宗の一歩を語るのに最適な場所と言えるでしょう。公式サイトでは46あるといわれる塔頭の数々も個性豊かなものばかりですが、今回は特にその庭園で知られている退蔵院を訪れます。室町時代と昭和の名庭園をご紹介することは単に日本庭園だけにとどまらない日本文化を語る場所にふさわしいでしょう。一年を通してこの庭の静寂さには多くの訪日観光客が惹きつけられています。ある時は40分以上滞在されたお客様もいらっしゃいました。そういう時どう交流しようか、研修だけでなく自分のスタイルを見つける機会としましょう。嵐山はウォーキングに最適な場所です。そして京都を訪れる外国人は必ずここを「行ってみたいリスト」に挙げています。コース選びにも自分のカラーを反映させることができます。ですからいつでもどのコースでもおまかせ!となるよう、研修で深めていきましょう。 (加羅博子)
1335年に花園上皇は出家して法皇となり、離宮であった「花園御所」を禅寺にする準備にとりかかる。上皇が師と仰いでいた大徳寺の宗峰妙超(しゅうほう・みょうちょう)が、病床から、高弟の関山慧玄を今後の師とするよう法皇に推挙。「妙心寺」という寺名を言い残して亡くなったため、この年(1337年)が妙心寺の創建とされている。
竹林は古くから日本に分布し、人々に親しまれ、日本の風景に不可欠な要素として美しい風景を作りだしてきた。特に京都では、竹林の緑が寺社仏閣の景観に趣を添え、観光客を引きつける重要な要素となっている。天龍寺の北門付近の竹林の道は、かつては訪れる人の少ないひっそりとした散歩道だったが、今や渡月橋と並ぶ嵐山のシンボルとして世界中に知れ渡っている。
桂川をはさんだ嵐山の対岸は「嵯峨」と呼ばれ、紅葉の名所「小倉山」の存在で名高い。天龍寺は、この小倉山の南東端(亀山)の麓に、足利尊氏が建立した臨済宗の寺院である。
1404年に波多野氏が無因宗因を開山として建立。妙心寺の塔頭の中でも屈指の古刹(こさつ)として知られる。山水画の始祖とされる如拙(じょせつ)最高傑作とされる禅の公案を描いた「瓢鮎図(ひょうねんず)」(写真)があったことでも有名。
林の中にひそやかに佇む小さな野宮神社は、平安遷都後に天皇の代理として伊勢神宮に仕える「斎王」(斎宮とも言う。未婚の皇女=天皇の娘=または孫・曾孫の女子から選ばれた)が、伊勢神宮に向かう前に1年間、精進潔斎をして過ごす場所だった。伊勢に行く行列の様子を再現した「斎宮行列」が1998年より毎年10月の例祭に行われている。
野宮神社の祭神は天照大神。潔斎を行う場所は年代によって嵯峨野の各所に設けられたため、現在の神社がいつできたものかは不明だが、おそらく800年頃とみられる。