通訳ガイドが書いた「地域の歴史が学べる観光ガイドブック」研修会
歴史ある古刹であり、自然に恵まれ広大な敷地を持つ三井寺は、「るろうに剣心」など時代劇のロケ地としても知られています。弁慶の引き摺り鐘など伝説も多い寺です。三井寺からは、京阪石山坂本線と坂本ケーブルで比叡山に行きます。
京都市街から1時間余りで行くことができる比叡山ですが、一人では下見しにくいところです。バスやケーブルなどを利用する必要があり、西塔・東塔・横川の広大な土地に150以上の堂宇があるからです。ポイントを押さえて、根本中堂のある東塔を中心に回りましょう。ケーブル途中で琵琶湖を眺めることができます。江戸と京都を結ぶ東海道や中山道にも思いを馳せて見ましょう。
(担当講師:太田貴子)
滋賀・京都県境に位置する比叡山(標高848m)は、古事記には「淡海(おうみ)の日枝(ひえ)の山」と記され、古くから信仰の対象とされていた。
8世紀末、都が平城京から長岡京を経て平安京に遷ると、その鬼門(北東)に当たる比叡山の存在感が増し、さらに、天台宗の開祖・最澄(写真)が延暦寺を構えたことにより、我が国の信仰の中心地のひとつとなっていく。
琵琶湖は日本最大の面積と貯水量を誇る湖である。また、世界有数の古い湖であると考えられており、長きにわたり「母なる湖」として全ての生物に様々な恵みをもたらしてきた。
当然、人類も古くからその恩恵を受けており、縄文時代には既に交通路としても利用されていたようで、丸木舟などが出土している。
大津市中心部にある園城寺(三井寺)は、壬申の乱で敗れた大友皇子を弔うため、その息子である大友与太王(よたのおうきみ)が創建したと伝えられている。三井寺という通称は、境内の霊泉が天智・天武・持統の3代の天皇の産湯として使われたことから「御井(みい)の寺」と呼ばれ、これが転じたと言われている。