通訳ガイドが書いた「地域の歴史が学べる観光ガイドブック」研修会
このコースでは鴨川の東側に位置する岡崎エリアを一日かけて堪能します。
かつて院政の中心地でもあった京都岡崎に建つ平安神宮は、創建こそ新しいものの、質素で暗めな色合いの禅宗文化が目立つ現代京都では珍しい、禅宗文化より古層の華やかな王朝文化を視覚的に感じ、伝えることのできるスポットです。
一方、質素な京都文化のど真ん中とも言うべき銀閣寺では、和室や応仁の乱といった定番ネタの語り口だけでなく、銀閣寺の整備が江戸時代に進んだ理由など歴史地理的な視点もお話しする予定です。哲学の道では、あまり詳しく触れられることのない西田哲学や京都学派のとらえ方や個性、そして(来年の大河ドラマにも出るかもしれない)鎌倉期のこの地のエピソードを歩いて体感しながら、見返り阿弥陀の待つ禅林寺に向かいます。そして南禅寺では伽藍と水路閣の視覚的コントラストを楽しみつつ、歴史的なエピソードを踏まえてこのコントラストを深掘りしてみたいと思います。
(担当講師:小島 宏毅)
臨済宗南禅寺派の大本山。1264年、亀山天皇(90代)が母親である西園寺姞子(さいおんじ・きっし)のために建造した離宮(「禅林寺殿」)に由来する。1291年、亀山上皇が禅僧の無関普門(むかん・ふもん)を招き、開山させた。
京都市左京区にある神社本庁別表神社(旧官幣大社)。1895年創祀。平安京への遷都から1100周年を祝して京都に誘致された内国勧業博覧会のための紀年殿に由来する。社殿、拝殿、神門はそれぞれ平安京の内裏、太極殿、応天門を模して建てられた。社殿を取り囲むように広がる神苑は、東西南北の四苑からなり、南苑以外は七代小川治兵衛による作庭だ。その他、東には朝堂院の様式による蒼龍楼、西には白虎楼という、緑釉を施した瓦が目を引く建物がある。
浄土宗西山(せいざん)禅林寺派の総本山。一般に「永観堂」として知られているが、これは禅林寺の「中興の祖」とされる永観の名にちなんだもので、正式名称は無量寿院禅林寺(むりょうじゅいん・ぜんりんじ)という。
京都市左京区の臨済宗相国寺派寺院で、世界文化遺産「古都京都の文化財」の構成資産の一つ。
本尊は釈迦如来。1482年、足利義政(室町幕府8代将軍)が自身の隠棲地としてこの地に山荘(東山殿(ひがしやまどの))を建てたことに由来する。1490年の義政没後、相国寺の宝処周財(ほうしょ・しゅうざい)により、夢窓疎石を追請開山として禅寺(相国寺の山外塔頭=離れた場所にある塔頭)とされた。「慈照寺」の名称は、義政の法号「慈照」に由来する。
★ 通訳ガイドのための観光ガイドブック「京都編」 より抜粋