通訳ガイドが書いた「地域の歴史が学べる観光ガイドブック」研修会
本コースでは、京都御所に始まり、錦市場、建仁寺を経由して東山の高台寺までまわっていきます。京都御苑では、御所に対するお客様の反応なども紹介しながら日本の宮廷文化を探るとともに、旧公家町にあたる御苑エリアでも、自然溢れる公園のなかで見落としがちな歴史の名残(公家屋敷跡や幕末動乱の痕跡)に目を向けてます。また錦市場では、京の食文化を探りつつ、インバウンドでのお土産エピソードなども紹介していく予定です。
その後、建仁寺では、“Japanese Tea”をめぐる国際的な視点からのエピソードに加え、方丈を手がかりに「桃山時代の建仁寺復興」という視点からも見所をお話する予定です。そして建仁寺から高台寺への街並みを歩くなかで付近の歩き方や見所、注意点などを紹介しつつ、高台寺でこの地で余生を過ごした北政所に思いをめぐらせようと思います。 (担当講師:小島 宏毅)
(補足:建仁寺に隣接する祇園エリアについては、ナイトスポットAのコースにて詳しくご案内がある予定ですので、あわせてご受講いただくことでさらに理解が深まるのではないかと思います。
「京都御苑」は、北は今出川通、東は寺町通、西は烏丸通、南は丸太町通に囲まれた南北1.3km、東西0.7kmの国民公園を指す。公園内には「京都御所」のほか、「仙洞御所」「大宮御所」「京都迎賓館」などが含まれる。明治時代に、東京遷都後の京都の荒廃を憂えた岩倉具視の指示のもと、内裏周辺に存在していた公家町の跡地の保存・整備を目的に設置されたもので、公園内部には宮家や上級貴族の邸宅跡などが点在している。
錦市場は、四条通の一本北を走る錦小路通にある「京の台所」である。錦小路通のうち、寺町通(東端)から高倉通(西端)までのアーケードエリアをさし、京野菜や豆腐、魚介類などを取り扱う100以上の店舗が、狭い通りの両側にびっしりと建ち並んでいる。
臨済宗建仁寺派の寺院。正式名称は高台寿聖禅寺。1606年、高台院(豊臣秀吉正室)によって、秀吉の供養のために創建された。「高台寺」という寺名は正室「ねね」の法名「高台院」に由来する。当初は曹洞宗寺院だったが、1624年、高台院死去の数か月前に臨済宗建仁寺派に転じて現在に至る。秀吉と高台院を祀った霊屋(おたまや)には、高台院が土葬されているほか、秀吉と高台院夫妻の坐像、観音坐像が安置されている。
臨済宗建仁寺派の大本山。日本禅宗の祖とされる明庵栄西(みんなん・えいさい)の庇護のもと、1205年に建立された。
開山当初は禅宗のほか天台宗と真言宗をも兼ねた三宗兼学の寺院だったが、後に蘭渓道隆などが住職を務めるなどして禅宗(臨済宗)のみとなり、室町時代(1386年)には京都五山の第三位とされた。開山の栄西は『喫茶養生記』の著作でも知られ、境内には、南宋より喫茶文化を持ち込んだ栄西の功績を称えた「茶の碑」という石碑が建てられている。また、毎年4月20日には「四頭(よつがしら)茶礼」と呼ばれる伝統形式に則った茶会が開かれている。
★ 通訳ガイドのための観光ガイドブック「京都編」 より抜粋